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ムーンナイト・ダイバー [本]

久しぶりに、本の紹介を。

『ムーンナイト・ダイバー』 天童荒太

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東日本大震災以降、原発や震災を描いた小説が数多く書かれました。
いくつか読みましたが、取って付けたように原発問題を取り入れている小説もありました。
面白いけどあまり心に響かない。
そんな作品が多い中、この『ムーンナイト・ダイバー』は素晴らしかった。
人の死や、遺族の悲しみを書かせたら、天童荒太の右に出る者はありません。

震災によって汚染された町、大切な人を亡くした遺族たちは、遺体を捜すことも遺品を持ち帰ることもできない。
そこで、海の底に沈んだ遺品なら、持ち出せると考えた男がいた。
危険なうえに非合法な潜水を行うのは、ダイバーの舟作。
彼も震災で兄を亡くしていた。
大切な家族を亡くした苦しみ。生き残った者の苦しみ。
悲しくて、優しい物語です。

天童荒太の小説を読み度思うのですが、重いテーマを題材にしているのに、読後感がいい。
読み終わったあとに、静かな感動が胸に残ります。
またひとつ、好きな小説が増えました。


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