重力ピエロ・悼む人

最近読んだ、２冊の本を紹介します。

重力ピエロ　伊坂幸太郎



「春が二階から落ちてきた」
そんな素敵な言葉から始まるこの小説は、ふたりの心優しい兄弟の話です。

弟の春は、母親が見知らぬ男にレイプされたときに出来てしまった子供。
それを知りながら、生むことを決めた母親、そして父親はそれを受け入れ、自分の子供と同じ愛情を注ぐ。
そんな愛にあふれた素敵な家族にも、目に見えない重力がのしかかっていた。

彼らが暮らす仙台の街で、たびたび起こる連続放火事件。
それに異様な興味を示す春は、兄を誘って、犯人をつきとめようとする。
そこに現れる謎の美女。

そんなふうに、ミステリーの要素をたっぷり含んで物語が進んでいく。

ふたりの兄弟の会話が、とても素敵（遺伝子の話は難しくてよくわからなかったけど）。

「楽しく暮らせば、地球の重力も感じなくなる」
という、父親のセリフが心に残りました。



悼む人　天童荒太



私、久しぶりに本を読んで泣きました。

　人が死んだ場所を訪ねて歩き、その人の死を悼む男・静人。
周りからは理解されず、時には不審者のように扱われても、彼はその旅をやめようとしない。
いつしか彼は、「悼む人」と呼ばれるようになる。

静人の帰りを待ちわびる母親は、末期の癌に侵され、余命数ヶ月。
また、彼に強い興味を持つ中年の雑誌記者。
夫殺しで刑務所を出たばかりの幸薄い女。

様々な人間模様が、すごく丁寧に書かれています。
テーマがテーマだけに、いろんな人の死が、たくさん出てきます。
きっとそういうのを、嫌う人もいると思います。

だけど私たちの周りには、本当に多くの死があります。
毎日のように起こる殺人事件や事故。
それがまったく知らない人でも、悼む気持ちを持つことが、大切なのではないでしょうか。

「なぜ、そんなことをしているのですか？」
と聞かれた静人は言います。
「覚えておきたいのです」



一生忘れない小説です。

コメント 7

だれにでも忘れることのない・・心に残る１冊ってありますよね＾＾
そういう本に出合った時って嬉しい瞬間ですよね♪
by めりー (2009-12-18 00:45) 

読んだことはありませんが、重力ピエロの題名はしってます！
(　ﾟ∀ﾟ)o彡°☆ｵｳｴﾝ！ｶﾞﾝﾊﾞﾚ☆
by やまがたん (2009-12-18 06:46) 

２冊とも、ちょっと重そうなお話ですね・・。
いつかチャレンジしてみたいです！！
それにしても、さすがリンさんは凄いですよね！！
本のあらすじが、簡潔で分かりやすくて、
読んでみたいと思わせてくれますもの（＾－＾）
by junjun (2009-12-18 10:53) 

こんばんわ、コメント有難う御座いました（〃＾∇＾）o_彡☆

重力ピエロって、映画化されてたような気がしますが・・・
勘違いでしょうか(ｏ´_｀ｏ)
とても心温まりそうな本ですねo(*⌒―⌒*)o
by のこ (2009-12-18 17:22) 

＜めりーさん＞
素敵な本でした。
私はほとんど図書館で借りて読むんですが、いい本に出会うと、買えばよかったと思います。

＜やまがたんさん＞
重力ピエロは映画になりました。
この作家さんも、今は大人気です。

＜ｊｕｎｊｕｎさん＞
１０００ｎｉｃｅ！踏んでくれてありがとう。
分りやすいなんて、嬉しいです。
いつも、説明が下手だ、何言ってるのかわからない、などと言われてるもので…

＜のこさん＞
はい、重力ピエロは映画になりました。
私はまだ見てませんが、映画も評判よかったみたいです。
by リンさん (2009-12-19 00:20) 

感想ありがとうございます。
ピエロになって見えない重力をはね飛ばしたんですね。

「覚えておきたいのです。」
ぐっとくる言葉ですね。
by シュシュ (2009-12-20 19:06) 

<シュシュさん＞
どういたしまして＾＾ｖ
重力ピエロの始まりの言葉と、終わりの言葉が同じだったのがいいなと思いました。「春が二階から落ちてきた」って、すごく印象に残りますよね。
by リンさん (2009-12-22 09:53)